久々にスニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫を読み返したくなった
学生の頃から買っていたラノベ、「風の大陸」など売ってしまったものもあって今更後悔している作品もあるけれど、一部残ってる作品をもう一度読み返したいと思った。と、言うのも大体のあらすじは覚えていても細かいところは30年も経過すると忘れているはずなので新鮮さが生まれてくるのでは無いかと。「フォーチュン・クエスト」など大作は時間がかかるので後ほどにするとして、まずは職業柄楽しませてもらった後池田真也先生の作品から読み返すことにした:-)
尚、この小説は電子書籍化してなく、絶版だと思われるのでネタバレしても良いかな…と思ったけど、あえてネタバレ無しにした。
トラブル・てりぶる・ハッカーズ(全2巻)
作者の処女作。何度も読み返していてページに手垢が(^^;
挿絵のイラストレーターは四季童子さん。「フルメタル・パニック」のイラストで有名な方:-)
思い出
記憶に間違いなければ1997年くらいに作者が開設した「裏方亭」というサイト。もともと作中に出てくるアングラサイトの名前と同じなんだけれども。同時にメーリングリストも運営していて、今でこそSNSで作者との交流は当たり前になったけど、当時はそれくらいしかやりとりが出来なかった。ただ、出版社へFAXやファンレターを送るくらいしかなかった時代と比べれば作者と読者の距離は縮まったのだと思う。
裏方亭(*インターネットアーカイブ)
↑残念ながらトップページくらいしかアーカイブされておらず…
作品が登場したときにちょうど派遣でJBCC1に所属しており、Windows95が大流行でインターネット黎明期だった。TCP/IPなども教えてもらったりしたおかげでネットワーク系が強くなったわけだけど、当時はチンプンカンプンでファイアウォールとProxyの違いすらもわからず。パソコン通信はしていたけど、TELNET接続も知らない。FTPはかろうじてホームページを開設していたのでなんとか…くらいだった。
サブタイトルなし(第1巻)

ザックリ言うと人間嫌いな男子学生がクラッカー2で、自分のスキル使ってクラッキング(ハッキング)をしスリルを味わって過ごしてるところに、顔も知らないクラッカー連中が軒並み行方不明にになる事件が発生。本人は関わりたくないのに事件に巻き込まれる。過去に携わった事件を主人公以外のクラッカー3人の協力で解決したこともあり、その仲間と一緒になって事件を解決に導く、という話。
作中に出てくる国内最大手通信会社「タチバナネットワークソリューションズ(TNS)」はNTTみたいな存在っぽく、秒間数テラビットの超高速ネットワーク「テラ・ネット」を開発・国内のネットワークを牛耳るみたいな状況。2026年現在、未だそのような回線は存在していない(笑)
作者も後書きで記載しているように実際のクラッキングとはかけ離れたデフォルメされた表現ではあったけど、雰囲気は十分伝わる。TELNET接続で次々にサーバを踏み台にし、足跡を残さないようにしてシステムに侵入という内容にワクワクした。ただ、自分の知識が足りないためにサーバを踏み台=Proxyサーバを経由しているものと勘違いしていて、そのあたりに関しては先のメーリングリストで「違うよ~。正しくは…」と親切に作者から教えてもらえた:-) メーリングリストのログを残しておけば良かったなぁ…。
また、ファイアウォールという言葉もこの小説で知った。
ハリケーン・ガール(第2巻)

1巻に出てくる4人のうちの一人が主人公。「サイネット・システム」という今で言うとソードアート・オンラインのナーヴギアとかサイレントメビウスのレビアが使っていたような人間が持つ5感をネットワークにダイレクト接続するシステムの話。
「サイネット・システム」のサブセット版としてゲーム化し、ロケテストのような形でゲーセンに設置、フィードバックから「サイネット・システム」を完成させるというプロジェクトを行う部署と1巻の結末の後、TNSの重役が目をつけた先のプロジェクトのリーダを牽制3するという変な構図で物語は進行する。
結局4人のうち3人は活躍が少なく、うち1人(男性)とサイネットシステム開発者(女性)との恋愛模様がメインとなるけど、あまりラブコメという部分を強調せず…という感じ。
個人的には「裏方亭」がクラッキングを受けて、それの対処するところは盛り上がったと思った。
3巻はまだか!と待っていたけど、結局2巻で終わってしまった。
リスキー・ダイヴ(全2巻)


この作品は前作「トラブル・てりぶる・ハッカーズ」から数年後の話として新しいタイトルで発売された。
以下の作品を破産での発表だったので、結果的に作者の最後の作品になってしまった。
前作の4人のうち1人(女性)の親戚が主人公(男性)となる。
前作の「サイネット・システム」の後継なのかリンケージャと呼ばれるデバイスを利用することでネットへダイブできるという。主人公が違法リンケージャで遊んでるところに軍用リンケージャが届けられ、とある宗教団体の駒として利用されそうになる。軍用リンケージャはAI実装済みで、主人公が使うAIの制作者は前作の人間嫌いなクラッカーということで年月が経過して少し性格が丸くなったような印象。直接手助けはしてくれないが、ハリケーン・ガール編で活躍した男性も途中から登場したりして、知ってるキャラがこれから来るのか!と期待していたけど、結局3巻が出ることは無かった(^^;
D-DOLL 人造天使の鎮魂歌(全1巻)

ゲーセンで遊べるロボットゲームを題材にした作品。自分でロボットをカスタマイズして相手のロボットと戦い、ポイントを稼ぐゲームで、PC98の「POWER DoLLs」と「電脳戦隊バーチャロン」を合わせたようなものを連想した。
作者は機械全般が好きだろうからロボットも大好きなんだろうな、と文章に熱が入っていたのでそう感じた。
男二人が主人公ならダブルヒーロー、女二人ならダブルヒロインだけど、この作品は男女が主人公である。男性がロボットのカスタマイズに長けており、メーカからもマイスターの称号をもらってるほどの腕前。女性はゲームとは縁が無いただの女子高生。たまたま女友達からゲーセンに誘われて遊んでみたら男主人公が驚愕するロボット操作を見せつけられ、途中からコンビを組むことになった。
なぜ女主人公がロボット操作に慣れているのか?という謎が物語が進むにつれて明らかになる。
1巻で終わりだけど、こちらも続きを描いて欲しかった。
ヘヴンズ・ルール(全3巻)
これでの作品とは異なるダークテイストな物語。主人公はクレジットカードをはじめとする偽造屋で、横浜の港に新しく埋め立てられた街の一部がアングラな環境となって「ヘヴン」と呼ばれる。警察はいるけど、違法な取引や殺人など危険な場所。そもそも日本なのに普通に銃を携帯している時点でおかしい(笑)
主人公が住んでいる安宿「平和」を舞台に店子の女性(トラブルメーカー4)や宿の女主人、怪しげなパーツを売りさばく商人、主人公の秘書のような子供などが登場し、色々なトラブルに巻き込まれてるドタバタもの。
ただ、主人公が自らトラブルを作ることはほぼなく、大体巻き込まれることが多い。
ガジェット好き作者の趣味が満載ということで「パーソナル・ギア」なんてものも出てきて、後書きをみるとHP社のHP200LXがモデルらしい。

↑挿絵のパーソナル・ギア
尚、挿絵のイラストレーターは相楽直哉という人だけど、Googleで調べても情報がほぼ出ない。21世紀初頭では漫画や他の作品の挿絵をしていたようだけど。WiKiも無ければSNSも無いのでどうしてるのか。個人的には好きなイラストを描く人なんだけどなぁ。。。
基本的に1話完結ではある。
愚者の楽園(1巻)

プロローグとして主人公の紹介と依頼してきた女性との絡み、そして世界観の紹介。初期設定からぶっ飛んでるな、と思った(笑)
暴走するロボットからの逃走劇、主人公を煙たく思っている警察とのやりとり、主人公の秘書がヘヴンに来ることになった経緯など。
多くの登場人物を出さないおかげで、大体のキャラ設定がわかるようになってるのは助かる:-)
白鳥の笑う夜(2巻)

話数としては2つで一つ目、ヘヴンは特殊な街なため偽名で生活している人間も少なくない。主人公もその一人で、ヘヴンに流れ着く前に出会った人間との再会、主人公の左腕を切断した殺し屋との確執、主人公が過去に所属していた企業内での勢力争いに巻き込まれるなど。
二つ目、トラブルメーカーの女性が主人公となってもうけ話に乗っかるまではいつも通りで、その中で出会ったガードマンに興味をもつが、ガードマンのほうからは塩対応。もうけ話の中心人物に近づくが逆に殺させそうになり、ガードマンが救出する…という流れだけど、このガードマンは実は…という感じで一応読者にわかるように表現している。
月光の轍(3巻)

こちらも2話構成。
一つ目は2巻で登場した企業内勢力争いに関係した重役の暗躍に対してカウンターを入れる主人公。ただ、横浜が火の海になる可能性もああるため、主人公側もかなり不利な戦いが繰り広げられる。
二つめは主人公の秘書の話。少しだけ時間が過ぎたことで秘書のほうもだいぶたくましくなった。偽造テクニックや特殊な武器などを作ることもできるようになり、元々の主人公の後を追ってるような感じ。
まとめ
作品の感想なんて久々に書いてしまった。
個人的には途中で終わってしまってるのは残念で仕方ない。当時はカクヨムやなろうとか無かったので作品を出そうにも難しかったろうけど、今なら…ってことで再開して欲しいところ。
けど、作者のWiKiもSNSも無いという状態なので、今はどうしているのか。年齢的には60前なのでサラリーマンをしているかもしれないけど。。。
Amazonや読書メーターでの評価はあまり宜しくないように見えるので、読んでない人は探してみてね!と言いづらいところではある(^^; けど、そこは個人の主観ということで自分的には楽しませてもらったし、ITの勉強にもなったから良かったと思う。その後の自分の人生に影響を受けたので良い作品に出会えた。
尚、この作品は自分が探したわけでは無く、草の根BBS「MooPee NET」で知り合った人から教えてもらった。ひらPさん元気してるかな…。

コメント